当科のご案内

教授挨拶

ごあいさつ

高知大学医学部小児思春期医学教授

高知大学医学部小児思春期医学の藤枝幹也でございます。

 

 

2019年12月から世界中で猛威を振るっていた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、やっと収束を迎え、WHOもCOVID-19の緊急事態宣言終了を宣言し、我が国も2023年5月8日から感染症法の2類相当から5類に変更となりました。マスク着用も病院など一部の地域を除き、個人の判断に任せることが推奨され、世間一般的には、何となく解放感が感じられる雰囲気になってきました。ただし、医療現場はまだまだ気を緩めることができないというのが現状でしょうか。COVID-19による重苦しい日々の中でしたが、医療スタッフは頑張ってくれ小児病棟ではクラスターを起こすことなく、かつ、小児に関しては重症例を出すことなく経過できたことに、改めて医療スタッフと関係各位に御礼申し上げます。

 

2022年度から今年度にかけて、計6人の若き小児科医師(2022年度:尾木 護先生、

川上雄平先生、小林 希先生、2023年度:大津祐也先生、中越奨之先生、松田愛理先生、

五十音順)が加わってくれました。さらに、本年4月から精神科医師の中村朔也先生が1年間小児医療研修のためローテートしてくれています。全員が素直で、上級医のみならず多職種の医療スタッフとも十分にコミュニケーションが取れる上にフットワークがよいので、飛躍が期待できます。研修関係の朗報として、専攻医研修施設として静岡県立こども病院も加わっていただきましたので、小児研修の更なる充実が得られると考えます。関連施設では、県立幡多けんみん病院小児科と県立あき総合病院小児科のスタッフを増員できたため、高知県内の小児医療の維持・発展に貢献できると思います。さらに、サブスペシャル領域の充実のため、本年4月から萩野絋平先生が国立成育医療センター 総合アレルギー科に研修・出向しました。

 

 

研究面では、複数の医師が多忙な臨床の中でも、エコチル関連、免疫関連、薬理学関連、腎臓関連など多教室のご指導をいただきながら共同研究を続けており、本年度中に複数の医師が医学博士を取得することができると期待しております。

2017年から開始した脳性麻痺に対する自家臍帯血細胞輸血は、Phase1臨床研究は終了し、その結果を論文化することができました。さらに、コロナ禍で大変でしたが2020年9月開始の同胞間臍帯血細胞輸血のPhase 1臨床試験はリクルートを終了し、現在2年間の経過観察中です。どちらの臨床研究も重篤な有害事象はなく安全で、リハビリテーション単独で得られる運動能力(期待値)以上の改善が得られ、一部の症例では言語面の顕著な改善も認められました。現在、自家臍帯血細胞輸血のPhase 2を計画し申請準備中です。2020年にできました「脳性麻痺再生医療研究センター」を中心に基礎研究の先端医療学推進センターの臍帯血研究班、リハビリテーション部門、輸血細胞治療部および放射線科(部)と連携して、新たな再生医療の開発に向けて邁進中です。

 

 

当方には2つの理念があります。

1)小児科領域におけるGlobalityかつSubspeciality双方の知識と技術を有する人材育成

2)新規治療開発

これらの実現のために努力を重ねていきます。そのために多方面の皆様方、同門の先生方のご援助とご指導を賜りたいと希望しております。何卒、宜しくお願い申し上げます。

(2023年5月吉日)